プラスチックの豆知識

プラスチックは別称合成樹脂と云います。このプラスチックは、ベルギー生まれの米国の化学者Baekelandが1907年人類初めての工業的重合法によりフェノール樹脂(Bakelite)を開発し、1910年にGeneral Bakelite 社を創立し商品化したのがスタートでした。その後、色々なプラスチックが発明・商品化されて、特に第二次世界大戦後は石油化学工業の発達に伴って、今日見られるような多種多様な、そして大量のプラスチックが発明・商品化されて来ました。

そのプラスチックは熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂に大別できます。


熱硬化性樹脂とは?

この素材は加熱と圧力により一時流動性を帯び、その後化学的に変化を起こし熱硬化すること(固化)により形を作るプラスチックです。一度硬化(固化)すると、再びそれを加熱しても溶融せず、固体のままとなる性質をもっています。そのため、熱可塑性樹脂と比較して耐熱性に優れ、機械的強度もあり、電気的特性を保持しつつ、各種溶剤にも耐えて、全体的にバランスのとれた(コストパフォーマンスの高い)、長期安定性に優れたプラスチックです。

例えば、フェノール樹脂(略称PF)、メラミン樹脂(MF)、ユリア樹脂(UF)、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、エポキシ樹脂(EP)、シリコーン樹脂(SI)、ポリウレタン樹脂(PUR)などがあります。

 

加工方法

素材(成形材料)の形状は、粉状やペレット状があります。加工法は、@インジェクション(射出)成形法、Aコンプレッション(圧縮)成形法、Bトランスファー(移送)成形法があります。@は成形機のシリンダー(加熱された筒)内で素材が加熱溶融され、金型内へ射出(インジェクト)された後、硬化(固化)した状態の成形品で取り出されます。Aは金型内へ素材を直接投入して、加熱・圧縮して硬化(固化)した状態の成形品が得られます。Bは@とAの中間に位置します。

 

メリットと利用方法

最大のメリットは、耐熱性(高温雰囲気で使用され加熱しても溶融しない。また燃え難い)や耐クリープ性(一定の荷重を加えて保持された状態でも、時間と共に変形しにくい性質)で、更に電気的特性や機械的強度も兼ね備えていることです。 例えば、自動車のエンジン周り部品(金属代替)、電気製品(配電盤、電子機器回路基板、半導体封止材)、厨房用品(鍋やフライパンの取っ手・ツマミ、食器)、産業機器(溶接機)など広範に亘り、その高い信頼性を得ています。

 

熱可塑性樹脂とは?

この素材は、加熱することによって柔らかくなり(溶融し)、冷却すると元の状態(固化)に戻ると云う性質を利用して、色々の成形法で多様な商品が作れます。

熱可塑性樹脂は、汎用プラスチックとエンジニアリングプラスチックに、また後者はさらにエンプラとスーパーエンプラに細分されます。

例えば、汎用プラスチックには、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、塩化ビニール(塩ビ、PVC)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン三元共重合体(ABS)などの各樹脂があります。

エンプラには、ポリアミド(ナイロン、PA)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)が、そしてスーパーエンプラには、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの各樹脂があります。

 

加工方法

素材(成形材料)はペレット状や粉状があります。射出成形法は成形機のシリンダーで溶融した素材を、冷却した金型内へ射出・冷却固化して製品を取り出します。また汎用プラスチックを使った成形法には、押出し法(シート状、パイプ状、フィルム状、棒状)、カレンダー法(シート状、フィルム状)、インフレーション法、ブロー法など様々な成形法があります。

 

メリットと利用方法

最大のメリットは、その樹脂本来の物理的・化学的特性を備えつつ、自由で意匠性に富んださまざまな形状の商品が得られることです。汎用プラスチックは、TVやPCのケース、スーパーのレジ袋など日常生活で見る様々な商品に、エンジニアリングプラスチックは、自動車部品、電子機器部品・電装品、航空機部品、医療器具に利用されています。

更に、再度加熱しても溶融する性質を利用して、リサイクルが可能です。